サステナビリティ研究

リユースは「遅らせる」だけか?延命型サステナビリティの限界と根本的な生産量削減の議論

ファッション業界における「リユース」「リサイクル」「リペア」の取り組みが拡大しています。古着市場は活況、メルカリには年間数億点の出品、大手ブランドは続々と買い戻しサービスを開始。一見すると、業界全体が確実にサステナブルな方向へと動いているように見えます。

しかし、ここ数年の学術研究が突きつけているのは、もう少し厳しい現実です。古着を頻繁に買う消費者ほど新品も多く購入する。延命型のサステナビリティ施策が、皮肉にも消費総量を押し上げている可能性がある。「捨てる時期を遅らせる」だけでは、根本的な環境負荷削減には届かない。

サステナブルファッション研究者の田中美穂と申します。株式会社サステナブル・ファッション・ラボの代表として、国内外の循環型ファッションを研究してきました。本記事では、延命型サステナビリティの限界を最新データから検証し、避けて通れない論点である「生産量そのものを減らす議論」を整理します。リユース推進派にも生産削減派にも肩入れせず、両者の関係を冷静に見つめ直す材料をお届けします。

延命型サステナビリティの広がりと前提

リユース・リサイクル・リペアの位置づけ

「延命型サステナビリティ」とは、すでに存在する衣服の寿命を延ばすことで環境負荷を抑えようとするアプローチの総称です。具体的にはリユース(再販売・再利用)、リサイクル(素材として再生)、リペア(修理して使い続ける)、そしてレンタル・サブスクリプションが含まれます。

エレン・マッカーサー財団の試算によると、衣服を1着あたり9か月長く使い続けるだけで、廃棄物・水消費・カーボンフットプリントを20〜30%削減できるとされています。この数字が示す通り、延命型施策の理論上のポテンシャルは決して小さくありません。

しかし重要なのは、これらが「生産された後」のフェーズに介入する施策である点です。つまり川下(消費・廃棄段階)で衣服の流れを循環させることに主眼があり、川上(製造段階)の生産量そのものには直接手をつけていません。この構造的な性質が、後述する限界の根本的な原因になります。

国内のリユース市場拡大

日本国内のリユース市場は急速に拡大しています。リサイクル通信の調査によると、2024年のリユース市場規模は3兆2,628億円と推計され、2009年以降15年連続で成長を続けています。

特にファッション分野の伸びは顕著です。矢野経済研究所の調査では、2024年のファッションリユース市場は1兆2,800億円(前年比111.3%)と予測され、衣料・服飾品とブランド品を合わせて初めて1兆円の大台を超えました。メルカリが推計する家庭内の「かくれ資産」は約67兆円にのぼり、家計と地球環境の双方に潜在的な意義を持つ市場として注目を集めています。

項目数値出典
国内リユース市場全体3兆2,628億円(2024年)リサイクル通信
ファッションリユース市場1兆2,800億円(2024年予測)矢野経済研究所
家庭内「かくれ資産」約67兆円メルカリ調査
国内衣類年間供給量81.9万トン環境省
国内衣類年間廃棄量51.0万トン(供給量の64.8%)環境省

国際的な制度設計の動向

延命型サステナビリティを後押しする政策も、欧州を中心に整備が進んでいます。フランスでは2020年に「廃棄物と循環経済との闘いに関する法律(AGEC法)」が成立し、2022年1月から食品以外の売れ残り品の廃棄が原則禁止されました。違反企業には最大15,000ユーロの罰金が科されます。

EU全体では「持続可能な循環型繊維戦略」が2022年に発表され、エコデザイン規則(ESPR)の枠組みの中で、未売残品の廃棄禁止と生産者責任拡大(EPR)を全加盟国に義務化する方向で議論が進んでいます。

日本でも環境省が「サステナブルファッション」を政策テーマとして掲げ、リユース・リサイクルを軸とした循環型ファッションの推進を進めています。延命型の取り組みは、市場・政策・消費者の三方向から確実に拡大してきた、というのが現在地です。

リユースは本当に環境負荷を減らしているのか

ここからが本題です。延命型サステナビリティが拡大する一方で、近年の学術研究は「本当に環境負荷は下がっているのか」という根本的な問いを投げかけています。

リバウンド効果という見落とされた現象

経済学・環境学の分野で古くから議論されてきた概念に「リバウンド効果」があります。これは、効率改善や代替手段の登場によってコストや罪悪感が下がると、かえって需要や消費が増えてしまう現象を指します。

典型例は燃費の良い自動車です。燃費が改善されたことで運転コストが下がり、結果として走行距離が増え、当初想定された削減効果が打ち消されてしまう。同じ構造が、いまリユースファッションの世界で観測されつつあります。

サーキュラーエコノミーの推進派が長らく見落としてきたのは、「循環すること自体が消費を減らす保証にはならない」という事実です。むしろ循環の効率が上がるほど、新品購入のハードルが心理的にも経済的にも下がる可能性があります。

Yale大学2025年研究が示した古着消費の実態

2025年12月、Yale大学経済学部のMeital Peleg Mizrachi博士とBar Ilan大学のOri Sharon博士による研究が、Nature系学術誌Scientific Reportsに発表されました。アメリカ全土の代表的標本1,009人を対象とした、これまでで最も体系的な古着消費調査の一つです。

研究結果は、サステナビリティ業界の通説を覆すものでした。

  • 古着購入経験者は全体の69%にのぼる
  • 18〜24歳の古着購入率は79%、学生では84%と若年層ほど高い
  • 古着を頻繁に買う消費者ほど、新品の購入量も多い傾向がある
  • 古着購入と新品購入には正の相関(r=0.58、p<0.01)が確認された
  • 古着を多く買う人は、まだ着られる衣服を早期に手放す傾向もある

「古着市場は過剰消費の自己強化サイクルに寄与している」という研究者の結論は、決して大袈裟ではありません。サステナブルとされる行動が、結果的に消費総量を押し上げている可能性を示す、極めて重要な実証データです。

1対1.23という置換率の意味

別の学術研究も同方向の結論を示しています。欧州の研究者らが算出した、新品衣服と古着の置換率は1対1.23。古着が新品1点を完全に代替するわけではなく、古着1点が市場に供給されるごとに、新品の購入量が0.23点分追加で増えるという推計です。

この数字が意味するところは深刻です。本来「新品を買う代わりに古着を買う」ことで生産量が抑制されるはずのメカニズムが、実際には部分的にしか機能していません。古着の流通量が増えても、新品の生産量はそれに比例して減るわけではない。むしろ古着市場の拡大が、ファッション消費全体のパイを大きくしている側面がある。

延命型サステナビリティの根本的な前提である「リユース=新品代替」が、現実の消費者行動においては成立しきっていない。これが学術研究が示す厳しい現実です。

モラルライセンシングと「免罪符」の心理

なぜこのような現象が起きるのか。心理学的なメカニズムとして指摘されているのが「モラルライセンシング(道徳的免罪符)」です。

人は環境配慮行動を取った後、無意識に「これだけ良いことをしたのだから、少しくらい新品を買っても許される」と感じる傾向があります。古着を買った日に、ついでに新品のシャツを1枚買い足す。サステナブルブランドで購入した翌週に、ファストファッションで気軽な買い物をする。こうした個別の行動は小さくても、社会全体では巨大な消費量となって積み上がっていきます。

つまり、延命型サステナビリティは「環境配慮している自分」というアイデンティティを与えることで、かえって消費を正当化する装置として機能しうる。Yale大学の研究も、この心理メカニズムが古着消費者の行動の背景にあることを示唆しています。

詳しくはYale Newsの研究紹介記事が参考になります。

過剰生産という構造問題

リバウンド効果が「川下」の消費者行動の問題だとすれば、その根源には「川上」での過剰生産があります。供給される総量が増え続ける限り、いくら循環の効率を上げても、絶対量での環境負荷削減は困難です。

生産量の急拡大と消費量の見通し

エレン・マッカーサー財団の調査によると、世界の衣類生産量は2000年から2015年の15年間で倍増しました。一方で1着あたりの使用期間は3分の1以上短くなっています。「より多く作り、より早く捨てる」ファストファッション型のビジネスモデルが、ここ20年の業界を支配してきた構図です。

そして将来予測はさらに深刻です。Fashion Revolutionによると、世界の衣料品消費量は2030年までに63%増加し、2050年までに現在の3倍以上、約1億6,000万トンに達する見込みとされています。延命型施策がいくら頑張っても、川上の生産量がこのペースで増えていけば、絶対量での環境負荷削減はほぼ不可能な領域に入ります。

過剰在庫700〜1,400億ドルの実態

McKinsey & Companyの「The State of Fashion 2025」レポートは、過剰生産の規模を具体的な金額で示しています。2023年の段階で、業界全体の過剰在庫は推計25億〜50億点、金額にして700〜1,400億ドル(約10兆〜20兆円)規模。これは生産された衣類のうち、最初から売れる見込みがないまま市場に出された分の規模感です。

この過剰在庫の多くは、最終的に焼却・埋立、またはアウトレットでの大幅値引き販売、あるいは発展途上国への輸出という形で処理されます。後者は「中古衣料の輸出」という名目で美化されがちですが、輸出先のガーナやチリでは大量の処理しきれない衣類が環境問題化しています。

89%のブランドが生産量を公開しない理由

Fashion RevolutionのFashion Transparency Index 2024によると、世界の主要250ブランドのうち89%が年間生産量を公表していないという事実があります。

この数字は決定的に重要です。生産量という最も基本的なデータが開示されなければ、業界全体の環境負荷削減目標が達成可能かどうかの検証もできません。各社のサステナビリティレポートに「素材の○%をリサイクル繊維にしました」「水使用量を○%削減しました」という記述があっても、その背景で生産量が増え続けていれば、環境負荷の絶対量は減っていません。

透明性指標開示している企業の割合
年間生産量を公表11%のみ(89%が非公表)
サプライチェーン全体のエネルギー源を開示11%
再生可能エネルギー投資額を開示6%
経営陣報酬と炭素削減の連動を開示18%
脱成長へのコミットメントを公表わずか2社(Superdry、Benetton)

日本国内の供給量と廃棄量のギャップ

日本国内の状況も同じ構造を抱えています。環境省の調査によると、年間の衣類供給量は81.9万トン。一方で廃棄量は51.0万トンに上り、供給量の64.8%が捨てられている計算です。リユースされる量は15.4万トン、リサイクルされるのは12.3万トンに留まります。

つまり、現状の延命型施策でカバーできているのは、手放される衣服全体のわずか3割程度。残りの大半は焼却・埋立処分されているのが実態です。「リユースが進んでいる」という印象論と、絶対量での環境負荷削減は、必ずしも一致していません。

生産量削減に向けた国際的な規制動向

過剰生産という構造問題に対して、欧州を中心に新しい規制の枠組みが動き始めています。これらの動向は、延命型サステナビリティの限界を超えて、生産量そのものに介入しようという試みとして注目に値します。

フランスAGEC法と廃棄禁止令

すでに触れた通り、フランスは2022年1月から売れ残り品の廃棄を禁止しました。AGEC法(廃棄物と循環経済との闘いに関する法律)に基づくこの規制は、単に処分方法を変えさせるだけでなく、企業に「過剰生産そのもののコスト」を意識させる構造になっています。

廃棄が禁止されれば、売れ残った在庫は寄付・リサイクル・リユースルートに流す必要があり、相応のコストがかかります。結果として、企業は生産計画段階から在庫リスクをより慎重に評価するインセンティブを持つことになります。

フランスのファストファッション規制法案

さらに注目すべきは、2025年6月にフランス上院が可決したファストファッション規制法です。SHEINやTemuといった「ウルトラファストファッション」を主たる標的とし、以下の内容が盛り込まれています。

  • 対象企業のオンライン広告を全面禁止
  • 製品1点あたり最大10ユーロの環境課徴金(2030年まで段階的に引き上げ)
  • 課徴金の上限は販売価格の50%まで
  • 環境影響に関する情報開示の義務化

この規制の本質は、「安く・大量に作る」ビジネスモデルそのものに価格的なペナルティを課すことです。延命型施策が川下の循環を促すのに対し、こちらは川上の生産モデルそのものを抑制しようとする方向性です。

EU繊維戦略とエコデザイン規則

EU全体では、2025年から段階的に施行されるエコデザイン規則(ESPR)が、繊維製品にも適用されます。これにより、大手企業は廃棄した製品の数量・理由・処理方法を公開する義務を負い、欧州委員会には未売残品の廃棄を禁止する権限が与えられます。

加えて、デジタル製品パスポート(DPP)の導入により、衣服1着ごとの素材構成、製造履歴、リサイクル可能性などがトレース可能になる予定です。これは延命型施策と生産削減型施策の両方を支える、データ基盤としての役割を果たすことになります。

日本の制度設計の現在地

ひるがえって日本の状況はどうでしょうか。環境省は2020年代に入ってから「サステナブルファッション」の政策枠組みを整備し、消費者啓発や業界団体との協働を進めています。経済産業省も「ファッションの未来」研究会を立ち上げ、循環型ファッションへの移行を議論しています。

ただし、フランスやEUのような「生産量への直接介入」を伴う規制は、まだ日本では本格化していません。拡大生産者責任(EPR)の議論は始まっているものの、衣類分野での義務化スキームは整備途上です。日本のファッション業界が、グローバル市場で競争力を維持しながら持続可能性に貢献するためには、欧州の規制動向を踏まえた制度設計の議論が必要な段階に入っています。

ポストグロース・ファッションという思想

規制と並行して、学術界と一部の実践者の間で議論されているのが「ポストグロース・ファッション(脱成長型ファッション)」です。これは延命型施策とは異なる、より根本的なパラダイム転換を求める思想です。

Kate Fletcherの「使うことの技法」

ロンドン芸術大学のKate Fletcher教授は、サステナブルファッション研究の第一人者として知られています。彼女の代表的な著作『Craft of Use: Post-Growth Fashion』では、「衣服を持つこと」よりも「衣服を使うことの工夫」に焦点を当てた、これまでとは異なるサステナビリティ観が提示されています。

Fletcherの主張は明快です。リサイクルやリユースを推進するだけでは、消費社会そのものの構造は変わりません。本当に必要なのは、衣服を「使い続ける」「手入れする」「修繕する」「他者と共有する」といった、市場経済の外側にある関係性の再構築です。彼女はこれを「sufficiency(充足)」「durability(耐久性)」「conviviality(共生)」という三つの原理で表現しています。

Tim Jacksonの「効率は規模に追いつけない」

経済学者Tim Jacksonは著書『Prosperity Without Growth(成長なき繁栄)』の中で、より厳しい指摘をしています。「経済が際限なく成長し続ける限り、必要とされる資源・排出効率の改善ペースは、英雄的水準でなければならない」。つまり、生産量が増え続ける前提では、いかに効率改善を進めても気候目標は達成できないという冷徹な結論です。

「Efficiency cannot outrun scale(効率は規模に追いつけない)」というJacksonの言葉は、ファッション業界にもそのまま当てはまります。1着あたりのCO2排出量や水使用量を改善しても、生産量が3倍になれば総量は増加します。この単純な算術は、延命型施策の限界を端的に示しています。

脱成長を実践するブランドの希少性

それでは、実際に脱成長を経営方針として掲げているブランドは存在するのでしょうか。Fashion Revolutionの調査によると、世界の主要250ブランドのうち、脱成長へのコミットメントを公表しているのはSuperdryとUnited Colours of Benettonの2社のみ。99%のブランドは、新品衣服の生産削減に関する明示的なコミットメントを出していません。

実践例として注目されるのが、フランスのLOOMというブランドです。LOOMは「もっと売る」のではなく「長く使ってもらう」ことをビジネスモデルの核に据え、製品の耐久性向上、修理サービス、適切な購入頻度の提案などを通じて、年間販売量を意識的に抑制する経営を続けています。

このような事例はまだ少数派です。しかし、脱成長ブランドの存在自体が「成長を追わなくても事業は成立する」という重要な反証になっています。

延命型と生産削減型をどう統合するか

ここまで延命型サステナビリティの限界と、生産削減型アプローチの重要性を論じてきました。最後に、両者をどう関係づけるべきかという実践的な論点を整理します。

延命型を「免罪符」にしないための条件

まず明確にしておきたいのは、リユース・リサイクル・リペアそのものが無意味だということではない、という点です。延命型施策は、生産量削減と組み合わさってはじめて、絶対量での環境負荷削減に寄与します。

問題は、延命型施策が単独で機能すると誤解され、生産量削減への議論を脇に追いやる「免罪符」として使われることです。これを避けるためには、企業も消費者も以下の認識を持つ必要があります。

  • リユースで「許されたから」新品を増やす、という思考の罠を意識する
  • 古着購入は新品代替であって追加消費ではない、という前提を保つ
  • 企業のリユースサービスを評価する際、本業の生産量推移も併せて見る
  • 「リサイクル素材使用率」より「総生産量」をサステナビリティ指標として重視する

三層構造で考える責任配分

サステナブルファッションの実現には、政策・企業・消費者という三層が連動する必要があります。それぞれに固有の役割があり、いずれが欠けても変革は起きません。

役割具体的な取り組み例
政策(政府)制度設計と規制廃棄禁止、生産量開示義務、EPR、課徴金
企業ビジネスモデルの転換受注生産、長寿命設計、修理サービス、生産量目標の公表
消費者購買行動の見直し必要量の自覚、長く使う、リユース市場の活用、過剰消費の抑制

特に企業の役割が決定的です。McKinseyや欧州委員会のレポートが指摘するように、生産量を計画段階から制御できるのは企業以外にありません。「消費者が買わなければ作らない」という単純な需給モデルだけで業界を動かすのは限界があり、企業側からの能動的な生産抑制が不可欠です。

リユースを「遅らせる」から「減らす」につなげる

最後に、本記事のタイトルに込めた問いに立ち戻ります。リユースは「遅らせる」だけなのか。私の答えは、「単独では遅らせるだけで終わる可能性が高い。しかし、生産削減と統合されれば、消費社会の構造を変える起点になりうる」というものです。

延命型サステナビリティが本当の力を発揮するのは、生産量そのものを減らすという議論と接続されたときです。リユース市場の拡大を喜ぶだけでなく、その背後で何トンの新品が生産され続けているのかを問い続ける視点。サーキュラーエコノミーが「効率の改善」に留まらず、「規模の見直し」を含むものへと発展していくこと。これらが、これからのサステナブルファッションを決定づける論点になります。

EUの規制動向、フランスの先進事例、ポストグロース思想の広がり。グローバルな潮流は確実に「生産量への介入」へと向かっています。日本のファッション業界も、延命型と生産削減型を統合した新しい戦略を構想する時期に入っています。詳しくは環境省のサステナブルファッション特設サイトで最新の政策情報が確認できます。

まとめ

本記事では、リユースを中心とする延命型サステナビリティの限界と、根本的な生産量削減の必要性について整理しました。要点を振り返ります。

  • 延命型サステナビリティ(リユース・リサイクル・リペア)は拡大しているが、川下に介入する施策である
  • Yale大学2025年研究などにより、リユース市場の拡大が新品消費を完全には代替していない(置換率1対1.23)「リバウンド効果」が確認されている
  • モラルライセンシング心理により、サステナブル行動が新品購入を正当化する装置になりうる
  • 世界の衣類生産量は2030年までに63%増加見込みで、年間700〜1,400億ドル分の過剰在庫が発生している
  • 大手ブランドの89%が生産量を非公表、脱成長を公表しているのはわずか2社
  • フランスAGEC法、ファストファッション規制法案、EU繊維戦略など、生産量介入型の規制が国際的に拡大中
  • ポストグロース・ファッション(Kate Fletcher、Tim Jackson)は、効率改善より規模の見直しを優先する思想
  • 延命型と生産削減型を統合し、政策・企業・消費者の三層で動かす必要がある

リユースは「遅らせる」だけの施策で終わらせるべきではありません。それを「減らす」議論につなげるための制度設計、企業戦略、そして消費者意識のアップデートが、私たちに問われています。サステナブルファッションの本質的な転換点は、まさにいま訪れています。