調査レポート

衣類寄付の行方を追跡調査:回収ボックスに入れた服はどこへ行くのか?

クローゼットの整理で出た古着を、ショッピングモールやアパレル店舗の回収ボックスに入れた経験のある方は少なくないはずです。「捨てるよりは誰かの役に立つはず」という気持ちで投函した一着が、実際にどこへ運ばれ、どう処理されているのか。その全体像を正確に把握している消費者は、決して多くありません。

サステナブル・ファッション・ラボ代表の田中です。普段は大手アパレル企業のサーキュラーエコノミー戦略策定や、環境省のサステナブルファッション推進委員会の委員として、衣類の循環システム構築に取り組んでいます。

今回は、私が業務の中で繰り返し問われてきた「寄付した服の行方」というテーマを、環境省の最新マテリアルフローデータ、企業公開情報、海外現地調査の報告書をもとに、できる限り具体的に追跡しました。善意の寄付が必ずしも望ましい結果につながらない構造的な課題も含めて、データに基づいて整理していきます。

日本の衣類はどこへ消えていくのか:環境省データが示す現実

最初に押さえておきたいのは、日本国内で衣類がどのような割合で処分されているかという全体像です。環境省が令和7年7月に公表した「2024年版 衣類のマテリアルフロー」を中心に、現状を確認しましょう。

年間50万トンが焼却・埋立される実態

環境省の最新調査によると、日本国内で1年間に新規供給される衣類は82.2万トン、そのうち事業所と家庭から手放される量は55.8万トンに上ります。家庭から可燃・不燃ごみとして排出されているのは47.9万トンで、家庭から最終的に未利用のまま廃棄されている量は50.6万トンと推計されました。

数字だけ見るとイメージしにくいかもしれません。環境省の試算では、これは大型トラック約130台分の衣類が毎日焼却・埋立処分されている計算になります。新品の供給量に対しておよそ7割が、いずれ廃棄物として処理される構造です。

リユース・リサイクル率は約38%にとどまる

家庭から手放される衣類のうち、リユースに回されるのは13.7万トン、資源回収に出されるのは19.1万トンです。リユースとリサイクルを合わせた割合は約38%で、年々わずかに上昇しているとはいえ、依然として6割以上が焼却・埋立に直行しています。

欧州連合(EU)が2025年1月から繊維廃棄物の分別収集を義務化したのと比較すると、日本の制度整備は明確に遅れています。EUでは加盟国に対して2028年までに繊維分野の拡大生産者責任(EPR)スキーム整備を求めており、生産者が回収・選別・リサイクルの費用を負担する仕組みが本格化しつつあります。

廃棄衣類の3分の1は「まだ着られる状態」

環境省の調査でとくに衝撃的な事実は、廃棄される衣類の約3分の1が、汚れや損傷のない状態で捨てられているという点です。とくにズボン・スラックス・スカート類で、まだ十分に着用可能な状態のまま廃棄されるケースが目立つと報告されています。

衣類1点あたりの所有期間も、スーツが平均6.7年、その他のアイテムが4年強と、決して長いとはいえません。「もう着ない」と判断された服のかなりの部分は、流通させれば再び誰かの手に渡る可能性が残されているわけです。

衣類回収ボックスの5つのチャネル

では、廃棄ではなく回収という選択をした場合、どのような経路があるのでしょうか。日本国内の衣類回収チャネルは、大きく5つに分類できます。

アパレルブランドの店頭回収

最も身近なのは、ユニクロ、H&M、無印良品といったアパレル企業が自社店舗に設置している回収ボックスです。ブランドによって対象範囲が異なり、自社製品のみを受け付けるところもあれば、他社製品も含めて回収するところもあります。

自治体による古着回収

東京都内では、世田谷区がエコプラザ用賀やリサイクル千歳台に常設の回収ボックスを設けており、春・秋の衣替え時期には地域で回収イベントも実施されています。渋谷区も家庭から出る再使用可能な衣類をリサイクルボックスで受け付けており、革靴やスニーカー、ぬいぐるみまで対象に含めるなど、自治体ごとに範囲を広げています。

NPO・NGOによる宅配回収

ダンボールに古着を詰めて送ると、売上がワクチン代として寄付される「古着deワクチン」、ビルマ(ミャンマー)支援のNPO法人BAJが運営する「フルクル」など、宅配型の回収サービスも複数存在します。送料は送り主負担となるケースが多いものの、社会貢献の意味合いを重視する利用者に支持されています。

商業施設・スーパーマーケットの設置型ボックス

横浜ランドマークタワーや相鉄ジョイナスといった商業施設に設置されている「するーぷ」のような専用ボックスもあります。投入量に応じてポイントが付与され、買物券や寄付に交換できる仕組みです。

リユース企業のオンライン回収

メルカリのようなフリマアプリ、宅配買取専門のリユース企業など、個人間取引や買取によるルートも近年急速に拡大しています。

主要な回収チャネルの特徴を整理すると、次のような違いが見えてきます。

回収チャネル対象範囲主な行き先利用者特典
RE.UNIQLO(ユニクロ)自社・GU・PLST全商品難民支援、ダウン再利用、固形燃料なし
H&M全ブランド・全状態リユース、繊維リサイクル、エネルギー回収割引クーポン
ReMUJI(無印良品)自社衣料・シーツ類染め直しによるアップサイクル販売なし
古着deワクチン衣類・靴・鞄全般海外販売+ワクチン寄付ワクチン提供
自治体回収(例:渋谷区・世田谷区)家庭由来の古着国内選別後、ウエス・反毛・輸出なし

主要アパレルブランドの回収プログラム比較分析

回収量・知名度ともに大きい3つのブランドについて、それぞれの仕組みと回収後の流れを詳しく見ていきます。

RE.UNIQLO:UNHCR連携による難民支援モデル

ユニクロは「RE.UNIQLO」の名称で、自社・ジーユー・プラステで販売した全商品を対象にした回収プログラムを運営しています。回収された衣類は、まず季節やサイズによって瞬時に仕分けられ、リユース可能なものは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界中のNGO・NPOと連携し、難民キャンプや被災地へ届けられます。

着用が難しい衣類のうち、ダウンやフェザーは新しい服の原料として再利用される一方、リサイクルが難しいものは断熱材や防音材、あるいはRPF(固形燃料)として工場や火力発電所のエネルギー源になります。詳しい流れはユニクロ公式サイトのRE.UNIQLO紹介ページで公開されています。

ポイントは、廃棄物としての処分ではなく、エネルギー回収まで含めて何らかの形で再利用される設計になっている点です。リユース率やリサイクル率の具体的な数値は公開されていませんが、難民支援との結びつきによって寄付の社会的意義が明確化されている点が特徴です。

H&M:2013年から続くグローバル循環システム

スウェーデン発のファストファッション大手H&Mは、2013年から世界中の店舗で他社ブランドを含む全衣類の回収を開始しました。皮革製品を除いて、ブランド・状態を問わずに受け付けるという開放性が特徴です。

回収された衣類は3つのカテゴリに仕分けられます。再販可能な状態のものは古着として販売、リメイクや清掃用品の素材として再利用されるものはセカンドハンドへ、それ以外は新たな繊維原料、自動車の制振材・絶縁材などへとマテリアルリサイクルされる流れです。H&Mは「廃棄するものは一切ない」と公表しており、エネルギー回収まで含めた完全循環を掲げています。

利用者には買い物時に使える割引クーポンが配布されるため、回収行動への直接的なインセンティブが組み込まれている点でも、他社と差別化されています。

ReMUJI:染め直しによる国内アップサイクル

無印良品は2010年から「ReMUJI」というプログラムを展開しています。回収対象は自社製品の衣料品とシーツ類に限定されますが、回収された衣類のうち十分な状態を保っているものを日本国内で染め直し、新たな商品として再販売する仕組みです。

ユニクロやH&Mが世界規模の循環を志向しているのに対し、無印良品は国内で完結するアップサイクルに特化しているといえます。日本古来の藍染めや継ぎ接ぎといった文化的要素を商品に反映させており、ファッションとしての付加価値を高める方向性です。

国内に残る古着の選別・加工プロセス

回収された衣類のすべてが海外へ流れているわけではありません。日本国内で選別・加工されるルートも、循環システムの重要な一部を担っています。

ラグハウス(襤褸屋)が担う仕分けの現場

国内で回収された古着は、まず「ラグハウス」と呼ばれる古着リサイクル工場に集められます。和名では「襤褸屋(ぼろや)」と呼ばれる業態です。ここで衣類は素材・状態・用途別に細かく分類されます。

仕分けの基準は4つの要素です。色(白→淡色→濃色)、素材(綿100%→混紡→化学繊維)、織り方(メリヤス編み→パイル地→平織り)、生地の厚さです。これらの組み合わせで、後工程での用途が決まっていきます。

ウエス(工業用雑巾)への加工:国内古着の約25%

日本国内で選別された古着のうち、およそ25%は「ウエス」と呼ばれる工業用雑巾に加工されます。ウエスは塗装・印刷・自動車・電気といった製造現場で、機械メンテナンスや清掃に使われる必需品です。

ウエスに適しているのは、綿100%・薄手・吸湿性の高い素材です。具体的には、肌着、Tシャツ、タオル、シーツなどが該当します。古着リサイクル業者の解説をまとめたラグマスターPikaichiの記事では、加工工程として、金具やボタンの除去、ウエス専用裁断機での切断、工業用大型洗濯機での洗濯、乾燥機での熱殺菌、規定重量での袋詰めまでが紹介されています。

ウエスは単なる廃材ではなく、繊維が柔らかく吸収性に優れた使い古しの綿素材だからこそ、新品では代替困難な性能を発揮する産業資材です。

反毛・固形燃料への変換ルート

ウエスに適さない衣類は、「反毛」と呼ばれるフェルトの原料に加工されます。反毛は自動車の内装材、断熱材、防音材、ぬいぐるみの中綿などに利用されます。

それでも素材として活用できないものは、RPF(リファインドペーパー&プラスチックフューエル)と呼ばれる固形燃料に加工され、工場や火力発電所でエネルギー源として使われます。マテリアルリサイクルが難しい混紡素材の最終処分先として、サーマルリサイクル(熱回収)の役割を果たしているのです。

海外輸出される古着の流通実態

国内で消化しきれなかった古着の多くは、海外へ輸出されます。ここからの流れは、消費者にとって最も見えにくい部分です。

マレーシアが最大の輸出先である理由

財務省貿易統計によると、日本からの古着輸出の最大の相手国はマレーシアです。輸出量のおよそ半分がマレーシア向けで、毎月500トンから1,000トン規模の古着が運ばれています。

マレーシアが選ばれる理由は明確で、関税が無税であること、そして人件費が比較的低く、大量の衣類を細かく選別する作業に適していることが挙げられます。日本から出荷された古着は、コンテナ船でおよそ20日間かけてシンガポール港に到着し、トレーラーでマレーシアの選別工場へ運ばれます。

シンガポール経由で20か国以上へ再輸出される構造

マレーシアの選別工場では、Tシャツ、デニム、長袖ワンピースなど200以上のカテゴリに細かく仕分けられます。その後、東南アジア各国、中東、アフリカ諸国など20か国以上へ再輸出される流れです。

つまり、日本のショッピングモールの回収ボックスに入れられた一着は、マレーシアでの仕分けを経て、たとえばパキスタン、フィリピン、ガーナといった遠く離れた国の市場で販売される可能性があるわけです。

国際協力スキームと組み合わせた寄付

国際協力NGOが運営する仕組みも存在します。「古着deワクチン」では、回収した衣類をアフリカやカンボジアで販売し、その売上の一部をポリオワクチン代として寄付する仕組みです。寄付先はラオス政府との直接協定、あるいはユニセフ経由でミャンマー・ブータン・バヌアツの子どもたちへ届けられます。

NPO法人BAJの「フルクル」は、回収した古着をリサイクル業者に売却し、その収益でミャンマー(地域開発、水供給、女性の裁縫訓練)やベトナム(環境教育、農畜産業支援)の事業を支えています。送料負担と引き換えに、社会貢献度の高い回収ルートを選びたい消費者向けの選択肢です。

国際物流を支える日本企業の役割

古着の海外流通には、貿易・物流の専門事業者が不可欠な存在として関わっています。京都に本社を置くNIPPON47は、日本・タイ・パキスタン・ドバイの4拠点体制で、古着ベールの仕入れサポートや国際輸送を手がける商社系物流会社です。

同社が業界内で注目される理由のひとつは、単に物流を提供するだけでなく、「衣類と未来」というCSR活動を通じて、アフリカ・ダンドラ地域の廃棄衣類問題に関する情報発信を続けている点です。古着流通の現場を知る事業者だからこそ伝えられる現地の実情を、ウェブメディアでわかりやすく解説しています。私自身も業務上、同社が公開している国別の流通データやアフリカ現地レポートを参考にする機会が多く、責任ある古着流通を考えるうえで信頼できる情報源のひとつです。

こうした「物流の上流から下流まで把握している事業者」が、業界全体の透明性向上に果たす役割は今後さらに大きくなっていくと考えられます。

アフリカで起きている「不都合な真実」

ここまで読むと、海外への古着輸出は途上国支援につながっているように見えるかもしれません。しかし現地で起きている事象は、必ずしもそうとは言えない複雑な側面を持っています。

ガーナ・カンタマント市場:週1500万着の到着地

西アフリカのガーナにある首都アクラ。その港町に、世界有数の古着集積地「カンタマント市場」があります。Business Insiderの現地取材によると、アクラ港には約60キログラムに圧縮された古着が、毎週1,500万着のペースで世界中から到着しています。

3万人以上の業者・貿易業者・小売業者がこの市場で生計を立てており、小売業者は中身を確認できないコンテナを100ドルから300ドルで買い取ります。状態の良い衣類は10セディ(約124円)、破れたものは1セディ(約12円)で販売されている状況です。

3分の1が埋立地行きとなる現実

問題の核心は、輸入された古着の3分の1以上が、最終的に廃棄物となることです。詳しい現地レポートはBusiness Insider Japanの記事で読めます。

廃棄された衣類は、近隣ビルに匹敵する高さの巨大な埋立地に積み上がります。ここから先で起きていることは深刻です。開放型下水にあふれて洪水の原因となり、マラリア媒介蚊の温床となり、雨水の浸透によってコレラ蔓延のリスクを高めています。海岸へも流出し、コーレ・ラグーンは世界で最も汚染された水域の一つとして知られるほどです。

しかも、近年輸入される古着の多くは合成繊維のファストファッション製品で、自然分解せず、何十年も環境中に残り続けます。

現地繊維産業の衰退と雇用の喪失

経済面の影響も看過できません。ガーナでは1975年から2000年までの25年間で、繊維関連の雇用が80%減少したと報告されています。安価な古着が大量に流入することで、地元の繊維産業が競争力を失い、産業基盤そのものが弱体化したわけです。

「Obroni Wawu(オブロニ・ワウ)」というガーナ語は、直訳すると「死んだ白人の服」を意味します。これは現地の人々が古着を呼ぶ際の言葉で、先進国から大量に押し寄せる衣類への複雑な感情が込められています。

つまり、日本の消費者が「誰かの役に立つはず」と願って投函した一着のかなりの部分が、現地の経済を圧迫し、環境を汚染している構造が存在しているのです。これが世界の古着流通における「不都合な真実」と呼ばれる所以です。

国際規制の動向と日本に求められる対応

こうした状況を受けて、世界では規制強化の動きが急速に進んでいます。

EUの拡大生産者責任(EPR)と2025年の制度改革

欧州連合(EU)は2025年1月から、加盟国に繊維廃棄物の分別収集を義務化しました。さらに2025年9月には欧州議会で繊維拡大生産者責任(EPR)に関する新規則が採択され、同年10月には改訂廃棄物枠組み指令が発効しています。詳細は欧州委員会の公式発表に掲載されています。

この制度では、衣類・履物・帽子・寝具・カーテンを生産する事業者が、回収・選別・リサイクルの費用を負担することが求められます。加盟国には20か月以内の国内法整備、30か月以内のEPRスキーム設立が課されており、2028年までに本格運用される見込みです。

注目すべきは「エコモジュレーション」と呼ばれる仕組みで、製品の耐久性やリサイクル可能性に応じて生産者の負担額を変動させます。耐久性の低いファストファッションには高い負担金が課される構造で、ファストファッション・超ファストファッションの環境影響を制度的に抑制する設計になっています。

リサイクル技術の限界:混紡繊維という壁

国際規制が進む一方で、技術的な課題も残されています。回収された衣類の約65%は、綿とポリエステルなどを組み合わせた複合素材(混紡繊維)です。この混紡繊維は、リサイクル工程で個々の素材に分離することが極めて難しく、現在のマテリアルリサイクル技術ではほとんど対応できません。

ケミカルリサイクルも、原則として単一素材であることが前提となっています。ポリエステル100%や綿100%なら可能でも、混紡となると効率が一気に落ちます。

ただし、技術革新の動きはあります。大阪大学の研究チームは2024年、マイクロ波加熱を使って綿/ポリエステル混紡繊維を分別する新技術を発表しました。詳細は大阪大学ResOUの研究紹介で公開されています。商業化にはまだ時間が必要ですが、リサイクル不能とされてきた素材への挑戦が始まっている段階です。

日本の制度設計に必要な視点

日本の現状は、EUと比べて制度面での出遅れが目立ちます。回収・選別・リサイクルの責任を誰がどこまで負うのかが明確ではなく、消費者の善意に依存している部分が大きいのが実情です。

環境省は2025年10月にも「衣類の資源循環システム構築に向けた現状」という資料を公表しており、制度整備の議論は本格化しつつあります。消費者の目線で言えば、企業側の透明性向上と、政策側のEPR制度導入を並行して進めることが、今後の鍵を握ると考えられます。

消費者ができる4つの実践的アクション

最後に、私たち一人ひとりが今すぐ取り組める行動を整理します。

「1年長く着る」という最も効果的な選択

環境省の試算によると、衣服を1年長く着用することで、年間約3万トンの廃棄削減が可能です。新しく買う前に手持ちの服を見直し、修繕やリメイクを検討するだけでも、循環システムへの最大の貢献になります。

ファッション業界における環境負荷削減は、リサイクル技術の進化よりも、まず購入量と廃棄量そのものを減らすことから始まると、欧米のサーキュラーエコノミー研究では繰り返し指摘されています。

回収プログラムの透明性を確認する

寄付や回収を選ぶ際は、その回収プログラムが「回収後にどう処理されるのか」を公開しているかを確認してください。具体的には、リユース率、リサイクル率、最終処分先、海外輸出の有無といった情報が、企業や団体のウェブサイトに掲載されているかどうかが目安です。

透明性の高いプログラムを選ぶことで、自分の寄付が想定外の経路でアフリカの埋立地に流れ着くリスクを減らせます。

購入段階でリサイクル可能性を見極める

衣類の素材表示を確認し、できるだけ単一素材(綿100%、ポリエステル100%など)を選ぶことも、長期的にはリサイクルしやすい衣類市場をつくる選択になります。混紡素材は機能性に優れる反面、後の循環性で大きな制約があります。

加えて、ブランドのサステナビリティ情報を購入前に確認する習慣も有効です。サステナブルファッション全般の基礎知識については、環境省のサステナブルファッション特設ページが信頼できる情報源です。

信頼できる回収ルートを選択する

回収ルートを選ぶ際の判断軸を、シンプルなチェックリストに整理しました。

確認項目チェックポイント
処理プロセスの公開回収後の流れが具体的に説明されているか
海外輸出の有無輸出先と現地での販売・処理状況が明確か
リユース・リサイクル率数値データが公開されているか
最終処分の責任埋立や焼却の割合とその責任主体は明確か
第三者認証サステナビリティ認証や監査の有無

これらの項目を満たすプログラムは現状ではまだ限定的ですが、選ぶ消費者が増えれば、企業側の情報開示も進んでいきます。

まとめ

衣類回収ボックスに入れた服の行方を追跡してみると、その流れは想像以上に複雑で、地球を半周するような旅をしているケースもあることがわかります。日本国内でウエスや反毛として活用されるルート、難民支援として届けられるルート、東南アジアやアフリカで再販売されるルート、そして残念ながら埋立地で行き止まりとなるルート、さまざまな経路が並行して存在しています。

重要なのは、寄付という行為そのものが目的ではなく、その先にある循環構造への参加が本質だという点です。データと事実に基づいて回収プログラムを選び、購入段階から循環性を意識し、何より「長く着る」ことを実践する。この3つの行動を積み重ねていくことが、ファッション業界のサステナビリティを前に進める原動力になります。

EUが先行する制度改革は、いずれ日本にも波及します。その時に、消費者として、企業として、社会として、どのような選択を準備しておくか。本記事が、自分自身のクローゼットと地球環境のつながりを考えるきっかけになれば幸いです。