市場分析・統計

データ分析で解明:「売れる古着」と「売れない古着」を分ける7つの決定的要因

執筆:田中 美穂(株式会社サステナブル・ファッション・ラボ 代表取締役 / 早稲田大学商学学術院 客員研究員)

クローゼットに眠る一着が、実は思わぬ価値を持つ資産かもしれません。しかし、多くの人がその価値を見極められずに機会を逸しています。近年、サステナブルファッションへの関心が高まり、古着市場は世界的に拡大を続けています。

本記事では、リユース事業開発の経験を持つサステナブルファッション研究者として、国内外の膨大な市場データを分析。「売れる古着」と「売れない古着」を分ける7つの決定的要因を、具体的なデータと共に解き明かします。

この記事を読めば、あなたは手持ちの服の価値を最大化し、賢くサーキュラーエコノミーに参加する方法を身につけることができるでしょう。

なぜ今、「古着の価値」をデータで知るべきなのか?

リユース市場の拡大を示す国内外のデータ

経験則だけでなく、客観的なデータに基づいて古着の価値を判断することの重要性が増しています。その背景には、リユース市場そのものの構造的な成長が挙げられます。

米国のリユースプラットフォームthredUPのレポートによると、世界の古着市場は今後も力強い成長が見込まれ、2028年には3500億ドル(約54兆円)規模に達すると予測されています。 これは、ファッション市場全体の成長スピードの3倍に相当します。 この成長は、単なる一過性のトレンドではなく、消費者の価値観の変化を反映した構造的なシフトであると考えられます。

日本国内においても、この傾向は同様です。2023年の国内リユース市場規模は3兆1,227億円に達し、14年連続で成長を記録しています。 2030年には4兆円規模への拡大が予測されており、古着の売買はもはや単なる節約術ではなく、成長市場への賢い参加と言えるでしょう。

【グラフ:国内外のリユース市場規模の推移と将来予測】

  • 世界市場: 2022年の約712億ドルから2030年には2148億ドル超へ(複合年間成長率14.8%以上)出典元
  • 日本市場: 2009年の約1.1兆円から2023年には約3.1兆円へ、2030年には4兆円規模を予測

サーキュラーエコノミーにおける古着の重要性

古着の価値を知ることは、経済的なメリットだけでなく、環境負荷の低減という社会的意義も持ち合わせています。ファッション産業は、そのライフサイクル全体で環境に大きな負荷を与えていることが指摘されています。

環境省の調査によれば、日本国内で一年間に家庭などから手放される衣類は約51万トンにのぼり、そのうち約65%が廃棄処分されているのが現状です。 また、服一着を生産する過程では、約25.5kgのCO2が排出されると試算されています。

古着をリユースすることは、これらの環境負荷を直接的に削減するアクションです。一点の衣類を長く使い、その価値を次の使用者へと繋ぐ行為は、資源の浪費を防ぎ、廃棄物の量を減らすサーキュラーエコノミー(循環型経済)の根幹をなす重要な要素なのです。

データ分析がもたらす「価値の最大化」

これまでの古着売買は、「人気ブランドだから」「状態が良いから」といった経験則に頼ることがほとんどでした。しかし、グローバルに拡大し、多様化するリユース市場においては、勘や経験則だけでは手持ちの服の真の価値を見誤るリスクがあります。

データに基づいた客観的な分析アプローチを取り入れることで、

  • なぜそのブランドの価値が落ちにくいのか
  • どのタイミングで売れば需要が高いのか
  • 国内では価値が低くても、海外では高く評価されるアイテムは何か

といった、より戦略的な判断が可能になります。本稿では、これらの問いにデータを用いて答え、皆様が持つ資産の価値を最大化するための一助となることを目指します。

【要因1】ブランドの「再販価値」を左右するサステナビリティ指標

人気ブランドの再販価値ランキングとデータ分析

古着の価値を決定づける最も分かりやすい要因は「ブランド」です。しかし、単なる人気や知名度だけでなく、「再販価値(リセールバリュー)」、すなわち定価に対して中古市場でどれだけの価格を維持できるかという指標が重要となります。

一般的に、リセールバリューが高いブランドには以下のような特徴が見られます。

  • 歴史と信頼性: 長い歴史を持ち、品質とデザインで信頼を築いている。
  • 希少性: 生産数が限られていたり、アウトレット展開をしていなかったりする。
  • 時代を超越するデザイン: トレンドに左右されない普遍的な魅力を持つ。

【表:リセールバリューの高いブランド例と特徴】

ブランド平均換金率(目安)特徴
エルメス100%超職人による手作業、希少性の高さから定価を超えるプレミア価格で取引されることも多い。
ルイ・ヴィトン60%~アイコニックなデザインと高い耐久性。中古市場での需要が安定している。
シャネル50%~定期的な価格改定と時代を超越するデザインにより、資産価値が維持されやすい。
ロレックス100%超「持ち歩ける投資商品」とも言われ、需要が供給を常に上回るモデルが多い。

出典:各種買取専門店の公開データを基に作成

これらのデータが示すように、真に価値のあるブランドは、時を経てもその魅力が色褪せず、中古市場においても高い需要を維持し続けることが分かります。

なぜサステナブルなブランドは価値が落ちにくいのか

近年、ブランドの再販価値を左右する新たな要因として「サステナビリティ」への取り組みが注目されています。企業のESG(環境・社会・ガバナンス)への配慮が、消費者のブランド選択に影響を与え、結果としてリセールバリューにも反映される傾向が見られます。

ESG評価の高い企業は、一般的に以下のような特徴を持っています。

  • 透明性の高い情報開示: サプライチェーンにおける労働環境や環境負荷に関する情報を積極的に公開している。
  • 環境負荷の低い素材の採用: リサイクル素材やオーガニック素材を積極的に使用している。
  • 長期的な視点での経営: 短期的な利益だけでなく、持続可能な社会の実現を経営目標に掲げている。

これらの取り組みは、企業のブランドイメージを向上させ、「このブランドの製品なら安心して長く使える」という信頼感を消費者に与えます。日経BPの「ESGブランド調査」で上位にランクインするイオン やソニー などの企業は、こうした地道な取り組みが生活者からの評価に繋がっている好例と言えるでしょう。この信頼感が、中古市場における価格の安定性、すなわち高いリセールバリューに繋がっていくと考えられます。

チェックすべきブランドのサステナビリティ情報

消費者がブランドの持続可能性を判断するためには、以下の情報をチェックすることが有効です。

  • 公式サイトのサステナビリティレポート: 多くの企業が年次で環境や社会への取り組みを報告書として公開しています。
  • 製品の素材情報: タグや商品説明で、リサイクル素材やオーガニック認証の有無を確認します。
  • 国際的な認証ラベル: 「GOTS(オーガニック・テキスタイル世界基準)」や「GRS(グローバル・リサイクルド・スタンダード)」などの第三者機関による認証は、客観的な信頼性の指標となります。
  • ESG評価機関のレポート: MSCIやSustainalyticsといった評価機関が公表する企業評価も参考になります。

【要因2&3】「トレンドの寿命」と「定番のデザイン」のデータ分析

ファストファッションとハイブランドのトレンドサイクル比較

「流行の服」は、その瞬間的な需要は高いものの、価値の持続性という点では極めて脆弱です。特に、短いサイクルで大量生産・大量消費を前提とするファストファッションのトレンド寿命は、データ上でも顕著に短いことが示唆されています。

Googleトレンドを用いて、特定のトレンドアイテム(例:「MA-1ジャケット」)と定番アイテム(例:「トレンチコート」)の検索需要を長期的に比較すると、その差は一目瞭然です。

【グラフ:Googleトレンドによる検索需要の比較(2015年~現在)】

  • トレンドアイテム(青線): 特定のシーズンに急激なピークを迎えるが、その後は急速に関心が薄れ、需要が安定しない。
  • 定番アイテム(赤線): 季節による周期的な変動はあるものの、毎年安定した検索需要があり、長期にわたって関心が持続している。

このデータは、ファストファッションのアイテムが中古市場で価値を維持しにくい理由を物語っています。トレンドが過ぎ去ると需要が激減し、供給過多に陥りやすいためです。

データで見る「定番」の強み:いつの時代も需要が途切れない理由

一方で、リーバイスの「501」ジーンズやバーバリーのトレンチコートといった「定番品」は、なぜ時代を超えて価値を維持し続けるのでしょうか。消費者行動分析の観点から見ると、以下の要因が考えられます。

  • 普遍的なデザイン: 流行に左右されない完成されたデザインは、どの時代においてもコーディネートの基盤となり得るため、常に一定の需要が存在します。
  • 品質と耐久性: 長年の使用に耐えうる高品質な素材と縫製は、「長く使える」という信頼性を生み、中古品であっても価値が認められやすくなります。
  • 物語性と文化的価値: アイテムが持つ歴史や文化的背景が、単なる衣類を超えた付加価値を生み出します。

これらの要素が複合的に絡み合うことで、「定番」は中古市場において安定した需要と価格を維持することができるのです。

ライフサイクルアセスメント(LCA)で考える服の価値

私の専門分野であるライフサイクルアセスメント(LCA)は、製品の原料調達から製造、使用、廃棄までの全段階における環境負荷を定量的に評価する手法です。このLCAの視点から服の価値を捉え直すと、長く使えるデザインや素材の重要性がより明確になります。

例えば、安価なTシャツを毎年買い替える場合と、高品質で耐久性のあるTシャツを5年間着用する場合を比較すると、後者の方がライフサイクル全体で見たCO2排出量や水消費量を大幅に削減できる可能性があります。

つまり、「長く使える定番品」は、環境負荷が低いだけでなく、結果的に経済的な価値(リセールバリュー)も高くなる傾向があるのです。これは、サステナビリティと経済合理性が一致する好例と言えるでしょう。

【要因4&5】素材の価値とコンディションが査定額に与える影響

査定額を左右するコンディションのチェックリスト

ブランドやデザインが優れていても、コンディション(状態)が悪ければ価値は大きく損なわれます。専門家として、一般的なチェック項目に加えて、特に査定額に影響を与えやすいポイントをリストアップします。

  • 基本的な確認項目
    • シミ、黄ばみ、汚れ
    • 穴、ほつれ、破れ
    • タバコや香水、防虫剤などの匂い
    • 毛玉、色褪せ、テカリ
  • 専門家が注目する項目
    • 縫製の質: 縫い目が均一で、糸の飛び出しがないか。
    • 付属品の状態: ボタン、ジッパー、バックルなどがオリジナルで、破損していないか。
    • タグの保存状態: ブランドタグや洗濯表示タグが綺麗に残っているか。特にヴィンテージ品ではタグが年代を特定する重要な手がかりとなります。
    • 素材の風合い: カシミヤの滑らかさや、デニムの色落ち具合など、素材本来の質感が保たれているか。

サステナブル素材の付加価値:オーガニックコットンは高く売れるか

近年、オーガニックコットンやリサイクルポリエステルといったサステナブル素材が、リユース市場においても付加価値として認識され始めています。

現時点では、サステナブル素材であることが直接的に査定額を数千円単位で引き上げるケースはまだ限定的です。しかし、環境意識の高い消費者をターゲットにするプラットフォームや店舗では、「サステナブルであること」が購買を後押しする重要な要素となっています。

特に、サステナビリティをブランド戦略の中核に据えている企業(例:Patagonia、Stella McCartneyなど)の製品は、その思想に共感するファンに支えられ、中古市場でも安定した人気を誇ります。環境価値が経済価値へと転換しつつある、過渡期の現象と言えるでしょう。

素材別・コンディション別の価格下落率データ

同じブランドの同じアイテムであっても、素材やコンディションによってリユース市場での価格は大きく変動します。

【グラフ:ウールコートのコンディション別 価格下落率の比較(イメージ)】

  • Aランク(未使用に近い): 定価の50-70%
  • Bランク(目立つ傷や汚れなし): 定価の30-50%
  • Cランク(やや傷や汚れあり): 定価の10-30%
  • Dランク(傷や汚れあり): 定価の0-10%

このグラフが示すように、コンディションの低下は査定額の低下に直結します。特に、カシミヤやシルクなどのデリケートな高級素材は、状態の良し悪しが価格に与える影響がより大きくなる傾向があります。日頃からの丁寧な着用と適切な保管が、将来的な資産価値を維持する上で極めて重要です。

【要因6】「売る時期」の最適解:需要と供給の季節データ

アイテム別・月別「検索需要トレンド」の可視化

衣類を最も高く売るためには、「需要が最も高まる少し前」を狙うのが鉄則です。この需要の波は、Googleトレンドなどのツールを用いることで客観的に可視化できます。

【グラフ:アイテム別 月別検索ボリューム(Googleトレンドより)】

  • コート: 8月頃から検索数が増え始め、10月~11月にピークを迎える。
  • Tシャツ: 3月頃から検索数が増え始め、6月~7月にピークを迎える。
  • ダウンジャケット: 9月頃から検索数が増え始め、11月~12月にピークを迎える。

このデータは、一般的に言われる「シーズンの2~3ヶ月前に売るのが良い」という経験則を裏付けています。消費者が次の季節の服を探し始めるタイミングで市場に出すことで、より多くの人の目に留まり、高値での取引が期待できるのです。

在庫データから読む買取店の「本音」

買取業者の視点から見ると、この「先読み」の動きはさらに重要になります。彼らは、需要がピークに達する時期に、店頭に商品を豊富に揃えておく必要があります。

そのため、

  • 夏物(Tシャツ、シャツなど)は、春先(3月~5月)に買取を強化する。
  • 冬物(コート、ニットなど)は、夏~秋口(8月~10月)に買取を強化する。

という傾向が一般的です。このタイミングで売却することで、買取店側も在庫を確保したいため、通常よりも高い査定額を提示してくれる可能性が高まります。

「季節外れ」でも高く売るための戦略的アプローチ

では、季節外れのアイテムは売れないのでしょうか。必ずしもそうとは限りません。以下のような戦略的アプローチが考えられます。

  • オールシーズンアイテムを狙う: デニム、スウェット、ブランドロゴTシャツなどは、年間を通じて比較的安定した需要があります。
  • 特定の趣味・活動に関連する衣類: アウトドアウェアやスポーツウェアなどは、季節よりも個人の活動サイクルに需要が左右されるため、通年で売れる可能性があります。
  • 宅配買取・オンラインサービスを活用する: 全国に販売網を持つ大手買取サービスや、個人間で売買するフリマアプリでは、地域や季節による需要の偏りが実店舗よりも少ないため、季節外れのアイテムでも買い手が見つかりやすい傾向があります。

【要因7】国内外の「市場価値」の違いとグローバルな視点

「ジャパンヴィンテージ」が海外で高値で取引される理由

国内では価値が付きにくい古着でも、海外に目を向けると驚くほどの高値で取引されることがあります。その代表例が「ジャパンヴィンテージ」です。特に1970年代から90年代にかけて日本で製造された衣類が、海外のコレクターから高い評価を受けています。

その理由は、以下の点にあると考えられます。

  • 品質の高さ: 当時の日本の縫製技術や生地の品質は非常に高く、丁寧なものづくりが再評価されています。
  • デザインの独自性: 海外ブランドの模倣から始まりつつも、日本人ならではの解釈を加えた独自のデザインが、ユニークなものとして受け入れられています。
  • 文化的背景: アニメTシャツやスカジャンなど、日本のポップカルチャーと結びついたアイテムは、その文化的背景も含めてコレクションの対象となっています。

これらの要因から、海外のバイヤーは日本のリサイクルショップや古着店を重要な仕入れ先と見なしており、国内の相場とは全く異なる価格帯で取引が行われています。

データで見る国別・人気アイテムの違い

海外市場と一括りに言っても、国や地域によって求められるアイテムは異なります。海外のオークションサイトやマーケットプレイスの取引データを分析すると、以下のような傾向が見られます。

【表:国・地域別の人気ジャパンヴィンテージアイテム】

国・地域人気のアイテム例人気の理由・背景
北米デニム(Evisu, Studio D’artisan)、90年代のアニメ・ゲームTシャツ、裏原宿系ブランド日本のストリートカルチャーへの憧憬、コレクターズアイテムとしての価値。
欧州デザイナーズブランド(Comme des Garçons, Yohji Yamamoto)、スカジャン、ミリタリーウェアのレプリカデザイン性の高さ、日本の伝統的な刺繍技術や丁寧な作りへの評価。
アジア(特に東南アジア)カジュアルブランドの古着、キャラクターTシャツ日本のファッションへの関心の高さ、手頃な価格帯で高品質なものが手に入ること。

このように、ターゲットとする市場の特性を理解することで、国内では評価されにくいアイテムの価値を最大化することが可能になります。

越境ECを活用した価値最大化の可能性

eBayやGrailedといった海外のマーケットプレイス(越境EC)を活用すれば、個人でも直接海外の消費者へ販売することが可能です。これにより、中間マージンを排し、アイテムの価値を最大限に引き出すことができます。

もちろん、言語の壁や発送手続きの煩雑さといった課題はありますが、国内では数百円の価値しか付かなかったTシャツが、海外では数万円で売れるといった事例も珍しくありません。グローバルな視点を持つことが、古着の価値を再定義する鍵となります。

データ分析から導く「売れない古着」の賢い手放し方

「売れない」の背景にあるデータ:ファストファッションの現実

データ分析を進めると、残念ながら市場価値がほとんど付かない「売れない古着」が存在することも明らかになります。その多くは、ファストファッションブランドのアイテムです。

その背景には、以下のようなデータに基づいた現実があります。

  • 供給過多: そもそも市場への供給量が膨大であるため、中古市場でも希少価値が生まれません。
  • 品質の問題: 低価格を実現するため、耐久性の低い素材や縫製が用いられることが多く、数回の着用や洗濯でコンディションが著しく低下しやすいです。
  • トレンドの短命化: 前述の通り、短いトレンドサイクルを前提にデザインされているため、すぐに「時代遅れ」と見なされてしまいます。

これらの理由から、ファストファッションのアイテムは再販価値が付きにくく、「売れない古着」となりやすい構造的な問題を抱えています。

選択肢としてのリペア、アップサイクル、適切な寄付

しかし、「売れない」からといって、すぐに廃棄するのはサーキュラーエコノミーの観点から望ましくありません。以下のような賢い手放し方を検討することが重要です。

  • リペア(修繕): 小さな穴やボタンのほつれなどを修繕することで、再び着用可能な状態に戻し、衣類の寿命を延ばす。
  • アップサイクル: 古着を解体し、バッグや小物など、新たな価値を持つ別の製品に作り替える。
  • 適切な寄付: 衣服を本当に必要としている国内外の団体へ寄付する。ただし、寄付先が本当にその衣類を必要としているか、寄付が相手の負担にならないかを見極める「責任ある寄付」が求められます。

責任ある手放し方を選ぶための判断基準

手元の「売れない古着」をどう手放すか。その判断基準として、以下のフローチャートを参考にしてください。

【フローチャート:売れない古着のサステナブルな手放し方】

  1. まだ着られる状態か?
    • YES → 適切な寄付先を検討する。フリマアプリで「まとめ売り」なども選択肢。
    • NO → 2へ
  2. リペア(修繕)で回復可能か?
    • YES → 自身で修繕、または専門店に依頼して再度着用する。
    • NO → 3へ
  3. 素材として再利用可能か?
    • YES → アップサイクルに挑戦する。ウエス(工業用雑巾)として活用する。
    • NO → 地域のルールに従い、適切に廃棄する。

よくある質問(FAQ)

Q: ノーブランドの服は本当に売れないのでしょうか?

A: データ上、ブランド品に比べて売れにくいのは事実です。しかし、デザインに独自性があったり、上質な素材(カシミヤ100%など)が使われていたりする場合は、ノーブランドでも価値が認められることがあります。フリマアプリなどで、コーディネート提案と共に魅力を伝える工夫が重要です。

Q: フリマアプリと専門の買取店、データで見てどちらが高く売れますか?

A: 一般的に、手間をかけた分フリマアプリの方が販売価格は高くなる傾向があります。しかし、買取店は専門家が価値を正しく評価してくれるため、希少なヴィンテージ品などは想定以上の高値が付くことも。売りたいアイテムの特性(希少性、ブランド力)に応じて使い分けるのが賢明です。

Q: 付属品(箱、タグ、保証書)の有無は査定額にどれくらい影響しますか?

A: 特にハイブランド品や限定品の場合、付属品の有無は査定額に大きく影響します。データによれば、完備品は欠品に比べて10%〜30%以上高く取引されるケースも珍しくありません。購入時の状態に近いほど、再販価値は高まります。

Q: 90年代ファッションブームは、古着の価値にどう影響していますか?

A: 90年代ファッションの再燃は、当時のブランドやアイテムの価値を著しく高めています。特にスポーツブランドのロゴアイテムや特定のデザインのデニムなどは、需要が供給を上回り、取引価格が高騰しているデータが見られます。トレンドを把握することが高値売却の鍵です。

Q: 古着を売ることは、どのくらい環境に良いことなのですか?

A: Tシャツ1枚をリユースすることで、その製造から廃棄までにかかるCO2排出量を大幅に削減できるというデータがあります。 私の研究においても、古着の活用は水資源の節約に大きく貢献することが示唆されています。一つ一つの売買が、持続可能な社会への具体的な一歩となります。

まとめ

本記事では、データ分析を通じて「売れる古着」と「売れない古着」を分ける7つの決定的要因を解明しました。ブランドのサステナビリティ、デザインの寿命、素材、状態、売る時期、そして国内外の市場価値といった多角的な視点が、あなたの服の価値を最大化します。

「売れない」と思われた服にも、リペアや寄付といった賢い選択肢があります。古着を正しく評価し、循環させることは、賢い資産活用であると同時に、ファッションの未来をより持続可能なものにするための重要なアクションです。あなたのクローゼットから、サーキュラーファッションへの一歩を踏み出してみませんか。